Reborn : Renaissance : 再生

「風神雷神図屏風」俵屋宗達

17Cに俵屋宗達が描いたこの屏風は,日本人のだれもが知る古典作品の一つである。今尚,この作品を美術的に模倣する人は多く,史学的に研究する人も少なくない。

「鬼神」YUJI DOI

鬼神としての雷神と風神をイメージして描いた作品。鬼の第一画の形はもちろんだが,左上から右下へ,そして右上へとVの字に抜ける動きが,雷神の動きと一致する構図で描かれている。
また,無意識の意図として,筆から落ちる雫の描いた点が,梅の花,尾形光琳の紅白梅図を連想させる。

「紅白梅図屏風」尾形光琳

18Cに尾形光琳が描いた「白梅」は,雷神と同じ構図で描かれている。100年の時を超えて,宗達の風神雷神図屏風に魅入られた光琳は,作品をトレースするのではなく,自身の中に取り込み表現し,この作品を生み出した。

 

「仙人掌群鶏図」伊藤若冲

若冲の鶏はその躍動感が素晴らしい。定型が存在する漢字で,その多様な姿を描くことで,躍動的な鶏の姿を強調し,焦点化させる働きを持つ作品である。

「象と鯨図屏風」伊藤若冲

さまざまな動物が存在する中で,若冲はなぜ象と鯨を描いたのか。言葉を一つの手がかりとしてみてみると,現在と昔では扱う言葉が違うように,古名というものが存在する。二つの動物にも古名があり,象は”きさ”,鯨は”いさ”といい,言葉が非常に似ていることがわかる。

東大寺南大門「金剛力士像」運慶 快慶

金剛力士像は口を開いた阿形と,口を閉じた吽形の2体1対の像である。この像の魅力はさまざまだが,手の形に注目してほしい。阿形は手を大きく広げているのに対し,吽形は拳を丸めるのではなく,指で小さな輪を作っている。二つの口の作品は,この手の形からインスピレーションを受けており,数ある金剛力士像の中でも,この運慶,快慶作の仏像を想起させる。